歌劇「ナブッコ」のあらすじと序曲で使われている旋律の歌詞
(出典:オペラ対訳プロジェクト
https://w.atwiki.jp/oper/pages/364.html)
第1幕「エルサレム」
ヘブライ人はアッシリア人に攻め込まれている。
ヘブライ人の元でアッシリア人の王の娘(フェネーナ)が捕虜になっていて、ヘブライ人の一人(イズマエーレ)と愛し合っている。
ヘブライ人の下にアッシリア人の王ナブッコが攻めてきたが、ヘブライ人のリーダーであるザッカーリアが捕虜にしていたナブッコの娘フェネーナを人質にして脅しをかける。それをイズマエーレが止めに入ってしまい、脅しは台無しに。
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序曲D(155小節)の旋律の歌詞第1幕第7場
(ヘブライ人たちがイズマエーレをののしる歌)
人々から拒絶されるが良い
兄弟を裏切った者として!
貴様の名は忌わしきものとして
罵られるのだ あらゆる時に!
ああ、この悪しき者より逃れよと
大地も天も叫ぶであろう!
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ヘブライ人はアッシリア人に捕らえられてしまう。
第2幕「神に逆らう者」
ナブッコのもう一人の娘(異母姉)アビガイッレが自分の出自が奴隷の娘だという記録を読み、父ナブッコが自分を権力から遠ざけようとしている訳を察する。
そうしていると妹フェネーナが捕えていたヘブライ人を解放しているとの知らせが入る。
アビガイッレと家臣が密談し、王になるようそそのかされる。
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序曲C(135小節)の旋律の歌詞(アッシリア人たちがアビガイッレに王になるようそそのかす歌)
われらはすでに噂を広げております
王が戦に倒れたと...
あなたが女王となることを民は求めております
アッシリアの地を救うために
あとは一歩を踏み出すのみ...運命はあなた様のもの!
勇気を持たれよ!
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アビガイッレは自らが王になることを宣言する。
ヘブライ人ザッカーリアがイスラエルの栄光のために祈っていると、ヘブライ人イズマエーレが入ってくるが、脅しを台無しにしたため、ヘブライ人たちは裏切り者としてイズマエーレを拒絶する。
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序曲Allegro(24小節、108小節)の旋律の歌詞(ヘブライ人たちが裏切り者イズマエーレをののしる歌)
主に呪われた者よ!
呪われた者には兄弟などおらぬ...
話しかけるものとて一人もいないのだ!
至るところで激しい嘆きが上がり
そいつの不信心な耳に風がその嘆きを届けるのだ!
彼の額には稲妻のように
神の怒りの烙印がきらめいておる!
その唇に毒を塗ろうとも無駄なこと
その胸に短剣を突き立てても無駄なのだ!
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騒ぎの中、アッシリア人たちがアビガイッレを王にまつり上げてヘブライ人を処刑しようと煽動していることが分かって、ヘブライ人の仲間となったフェネーナが盾突く。
アビガイッレが王冠を手にしようとしたところに、ナブッコが登場。怒りにかられ、王冠を取り返して「私はもはや王ではなく神である」とナブッコが宣言すると、稲妻が彼を襲ってしまう。神へのおそれに駆られて王冠を外してしまう。
弱ったナブッコから王冠を奪い、アビガイッレが手にする。
第3幕「預言」
アビガイッレが王として讃えられる。(ヘブライ人たちは捕らわれの身となっている)
ナブッコはすっかり弱っており、権力を自分のものにしようとアビガイッレが歌いかける。
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序曲Allegro(211小節)の旋律の歌詞(アビガイッレがナブッコから王座を奪うためにそそのかす歌)
病であなた様は倒れておいででした...民は
ヘブライの反乱に悲鳴をあげております
さあ王家の印を押して下さいませ
あなた様への請願に!
[刑の執行状を見せて]
悪しき者どもに死を...
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ナブッコは権力を失って嘆く。
ヘブライ人たちの処刑を宣言するラッパが鳴り響くと、少し正気を取り戻し、ヘブライ人の仲間になった娘フェネーナが気がかりとなり、助けるようアビガイッレに哀願する。
ユーフラテス川のほとり。
囚われのヘブライ人たちが故郷を思って歌う。
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序曲Andantino(54小節)(ヘブライ人たちが故郷を思う歌)
行け わが思いよ 金色の翼に乗って
行って安らぐのだ 斜面や丘の上に
暖かく 柔らかく香り立つところ
そよ風が甘く香るふるさとに!
ヨルダン川の岸辺に挨拶しておくれ
シオンの倒された塔にも...
おお わが祖国よ とても美しく そして失われた!
おお 思い出よ とてもいとおしく そして不幸な!
金の竪琴よ 預言者たちが言葉を紡ぐ
なぜ黙っているのだ 柳の下に吊るされて?
思い出をこの胸に再び掻き立てて
われらに語ってくれ 過ぎ去った日々のことを!
あのエルサレムの運命に似て
悲しき嘆きの響きを紡げ
でなければ主に掻き立てさせよ
この苦しみを耐えさせてくれる調べを!
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ザッカーリアが「恥辱の鎖は断ち切られる(ヘブライ人は救われる)」と預言をうたう。
第4幕「壊れた偶像」
ナブッコが正気を取り戻し、改心し、ヘブライ人の故国への帰還を許す。
アビガイッレは信頼を失ったことを悟り服毒自殺する。
人々はナブッコを讃える。